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高速道路の過失割合の考え方は?

2023年04月17日

高速道路は自動車やバイクが速度を上げても安全に走行できるように作られた道路で、道幅が広い・カーブが緩やか・信号や交差点がないなどの特徴があります。

一般道路と特徴が異なる高速道路における交通事故で、過失割合がどのように決まるのか気になっている人は多いのではないでしょうか。

今回の記事では、高速道路上における交通事故の過失割合の目安を、ケース別で詳しく解説していきます。

実際の過失割合は個別の事故状況によって細かく修正されるため、あくまでも典型的な事故例での過失割合として参考にしてみてください。

 

高速道路の合流地点における事故の過失割合

まずは高速道路の本線に合流する自動車と、本線を走行している自動車が衝突した交通事故の過失割合を確認していきましょう。

それぞれの過失割合は、以下のとおりです。

合流車両 本線車両
過失割合 70% 30%

道路交通法75条の6第1項では、本線に進入する自動車は本線を走行している自動車の進行を妨害してはならないという規定があります。

そのため、合流地点での交通事故では合流する車の過失割合が大きくなりやすいです。

一方、本線を走行している自動車においても、減速や車線変更など衝突を避ける行動が可能であると想定されるため、30%程度の過失がつきます。

高速道路の合流地点で自動車対二輪車の場合

高速道路の合流地点で交通事故を起こした車両が、自動車と二輪車だった場合の過失割合は以下のとおりです。

事故状況 自動車 二輪車
自動車が合流、二輪車が本線を走行 80% 20%
二輪車が合流、自動車が本線を走行 40% 60%

自動車同士の合流地点での事故と同様に、合流する車両の過失割合が大きくなります。

ただし、二輪車は自動車よりも交通事故で受ける被害が大きくなりやすいため、過失割合は二輪車が10%程度有利に調整されるのが一般的です。

なお、当事者に速度違反や以下のような著しい過失・重過失にあたる行為があった場合、過失割合は10%~20%程度修正されます。
・著しい前方不注意
・著しく不適切なハンドル・ブレーキ操作
・携帯電話の使用
・酒気帯び運転
・飲酒運転
・居眠り運転
・無免許運転 など

事故に巻き込まれた際は、上記のような過失割合を修正するような事由がないかなどをしっかり確認するようにしてください。

 

進路変更によって発生した交通事故の過失割合

進路変更によって発生した交通事故の過失割合は、以下のとおりです。

進路変更車両 直進車両
過失割合 80% 20%

走行車線から追越車線へ進路変更する車両と、追越車線を直進する車両の衝突事故を想定しています。

道路交通法26条の2第2項では、後方から走行してくる車両の進行を妨げる恐れがある場合は、進路変更をしてはならないという規定があります。

そのため、進路変更をした車両の過失割合が大きくなりやすいです。

なお、一般道路での過失割合は「進路変更車両70%:直進車両30%」となりますが、より注意が必要となる高速道路では、進路変更車両の過失が10%程度加算されます。

 

落下物によって発生した交通事故の過失割合

高速道路を走行している自動車が物を落とした際、後続車がそれを避けきれずに交通事故となる場合があります。

このような落下物によって発生した交通事故の過失割合は、以下のとおりです。

先行車両 後続車両
過失割合 60% 40%

高速道路では一般道路よりも回避行動をとるのが難しいと考えられるため、物を落下させた先行車両の過失割合がより大きくなります。しかし、落下物を回避できなかった後続車両にも、車間距離不保持、前方不注視などの一定の過失があると判断されます。

また、視界不良や速度違反・過失行為の有無・追越車線での事故など、細かな事故状況によっても過失割合は調整されます。

高速道路において物を落下させる行為は重大な事故に発展する可能性もあるため、自分の車に荷物を載せる際は十分注意してください。

 

高速道路の歩行者との事故の過失割合

高速道路で歩行者と接触した交通事故の過失割合は、以下のとおりです。

歩行者の位置状況 自動車 歩行者
高速道路上を歩行・横断 20% 80%
事故車両や故障車両の付近 60% 40%

通常であれば高速道路に歩行者は進入不可能ですが、車両の故障や事故などの理由で高速道路上を歩行する可能性もあるでしょう。

高速道路での歩行者との事故は、歩行者がどの位置にいたかによって過失割合が変わります。

自動車と歩行者の交通事故の場合、自動車側がほとんどの過失責任を負うケースも多いですが、高速道路を歩行・横断していた場合は歩行者の過失がより重くなります。

 

高速道路の駐停車中による追突事故の過失割合

高速道路の駐停車中に追突事故が起きた場合の過失割合について、以下2つのケース別で解説します。
・なんらかの原因による駐停車で起きた追突事故の場合
・路肩等に駐停車していた時に発生した追突事故の場合

道路交通法により高速道路上の駐停車は原則禁止とされていますが、車両の故障や危険防止などで駐停車せざるを得ない状況も考えられます。

それぞれの過失割合について、以下で詳しく確認していきましょう。

なんらかの原因による駐停車で起きた追突事故の場合

なんらかの原因による高速道路本線上での駐停車で起きた追突事故の過失割合は、以下のとおりです。

追突事故の原因 追突車両 駐停車車両
ガス欠や整備不良 60% 40%
過失のない駐停車 100% 0%

過失のない駐停車は、正当な理由によって駐停車し、駐停車後の対応に落ち度がない場合を想定しています。

この場合は駐停止車両の過失は認められないため、追突した側の車両に100%の過失があると判断されます。

重過失行為の有無・道路状況・時間帯や天候による視認不良など、細かな事故状況によっても過失割合は修正されるため、典型的な事故例として参考にしてください。

路肩等に駐停車していた時に発生した追突事故の場合

路肩等に駐停車している車両に追突した交通事故の場合、過失割合は以下のとおりです。

追突車両 駐停車車両
過失割合 100% 0%

本線を外れ路肩を走行することは、道路交通法で原則として禁止されています。

そのため、路肩に駐停止している車両に追突した交通事故では、追突した車両がすべての過失責任を負う必要があります。

なお、駐停止車両においては、故障などのやむを得ない事情によって駐停車している前提です。

理由なく路肩に駐停車している場合には、駐停止車両にも一定の過失割合が加算されます。

 

高速道路上の過失割合は一般道路とは考え方が異なる

高速道路は一般道路よりも交通事故の発生率は少ないとされていますが、事故が起こってしまった場合、被害が大きくなりやすい傾向にあります。

また一般道路と高速道路では異なる過失割合が適用されるため、適正な過失割合を判断するのが難しいケースも多いです。

高速道路上の交通事故で相手方から納得できない過失割合が提示された場合や、当事者同士の意見が食い違ってもめている場合は、早めに弁護士へ相談するのをおすすめします。

弁護士に依頼すると過去の裁判例から適正な過失割合を判断できるため、より納得のいく結果を得られるでしょう。

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