飲酒運転の同乗者は罪になる?罰則は?
2024年03月11日
飲酒運転は重大な違反であり、運転者本人だけでなく、同乗者も法的な責任を問われる可能性があります。
飲酒運転の同乗者はどのような罪に問われるのか、またどのようなケースで罰則が科されるのか、不安に思う人も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、飲酒運転同乗罪の概要や、飲酒運転の同乗者に対する処分の内容について事例別で詳しく解説します。
自動車の同乗者として適切な対応を取るためにも、ぜひ参考にしてみてください。
飲酒運転には酒気帯び運転と酒酔い運転がある
飲酒運転には、大きくわけて「酒気帯び運転」と「酒酔い運転」の2種類があります。
この種類は飲酒の程度によって区別されており、それぞれ異なる罰則が適用されます。
・酒気帯び運転とは
・酒酔い運転とは
酒気帯び運転と酒酔い運転の違いについて、以下で詳しく見ていきましょう。
酒気帯び運転とは
酒気帯び運転とは、アルコールを一定の基準値以上に保有した状態で車を運転する行為を指します。
酒気帯び運転に該当する具体的なアルコール濃度は、呼気1リットルのうち0.15mg以上、または血液1ミリリットルにつき0.3mg以上が基準値です。
道路交通法では酒気を帯びて運転する行為を禁じており、基準値以上のアルコール濃度が検出された場合の行政処分は次のように定められています。
呼気中のアルコール濃度 | 処分内容 |
---|---|
0.15mg以上 | 違反点数13点 免許停止(期間90日) |
0.25mg以上 | 違反点数25点 免許取り消し(欠格期間2年) |
また酒気帯び運転では行政処分のほか、刑事処分として3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
酒酔い運転とは
酒酔い運転とは、アルコールの影響によって正常に運転できないおそれがある状態で運転する行為です。
呼気や血液のアルコール濃度にかかわらず、まっすぐに歩けなかったりろれつが回らなかったりするなど、客観的に見て酒に酔っている状態が該当します。
罰則は酒気帯び運転よりも重く、行政処分の違反点数は35点となっており、前歴や累積点数にかかわらず一発で免許取り消し(欠格期間3年)となります。
また酒酔い運転の刑事処分は、5年以下の懲役または100万円以下の罰金です。
飲酒運転の同乗者は飲酒運転同乗罪に問われる
運転者が飲酒運転をすると、同乗者も「飲酒運転同乗罪」として法律上の責任を問われる可能性があります。
しかし、飲酒している運転者の車に同乗していた事実だけで罪になるわけではありません。
・飲酒運転同乗罪とは
・同乗者の定義
・飲酒運転同乗罪の罰則
飲酒運転同乗罪の概要や罰則について、以下で詳しく解説していきます。
飲酒運転同乗罪とは
道路交通法65条第4項では、運転者が酒気を帯びていると知りながら、運転者に対して乗せるように要求・依頼して同乗する行為を禁止しています。
上記の内容に違反すると、飲酒運転同乗罪が成立します。
運転者が酒気を帯びていると知っていることが要件に含まれるため、運転者が飲酒を隠し、同乗者も飲酒の事実に気づいていない状況であれば成立しません。
同乗者の定義
飲酒運転同乗罪における同乗者とは、運転者の飲酒運転を知りながら、運転者に対して自身の運送を要求または依頼して同乗した人です。
乗車位置は問わないため、助手席に座っていても後部座席に座っていても同乗者となります。
ただし、旅客自動車運送事業の用に供する車両は除かれるため、乗車したバスやタクシーの運転手が飲酒していたとしても、乗客は同乗罪の処分対象にはなりません。
飲酒運転同乗罪の罰則
飲酒運転同乗罪の罰則は道路交通法によって定められており、内容は運転者が酒気帯び運転であったか酒酔い運転であったかによって異なります。
同乗者に科される刑事処分は、以下のとおりです。
・酒気帯び運転:2年以下の懲役または30万円以下の罰金
・酒酔い運転:3年以下の懲役または50万円以下の罰金
また、飲酒運転の同乗者が運転免許を取得している場合、運転者と同じ違反点数が加算されます。
飲酒運転の同乗者の処分事例
飲酒運転の同乗者は、状況によってさまざまな処分を受ける可能性があります。
ここでは次の5つの事例別で、同乗者の責任について解説していきます。
・飲酒運転で交通事故を起こした場合
・同乗者が運転免許をもっていない場合
・同乗者が運転免許をもっている場合
・飲酒運転だと知らずに同乗していた場合
・飲酒運転を知らなかったと嘘をついた場合
それぞれの事例を、以下で具体的に確認していきましょう。
飲酒運転で交通事故を起こした場合
飲酒運転で交通事故を起こして人にケガをさせたり死亡させたりした場合、運転者は危険運転致死傷罪や自動車運転過失致死傷罪に問われる可能性があります。
また事故を起こした経緯に同乗者が深く関与していたと判断されれば、同乗者であっても事故の責任を問われる場合があります。
飲酒運転で人身事故を起こした際は、同乗者は飲酒運転同乗罪のみならず、交通事故で人を死傷させた結果に対する責任も負う可能性があるのです。
同乗者が運転免許をもっていない場合
飲酒運転同乗罪では、同乗者の運転免許の有無は要件に含まれておらず、運転免許をもっていない場合でも刑事処分の対象となります。
「運転免許をもっていない」「同乗者の責任を知らなかった」といった言い訳は通用しないため、注意しましょう。
運転者の飲酒を認識した場合は乗車を避け、運転させないようにするなどの対応が求められます。
同乗者が運転免許をもっている場合
同乗者が運転免許をもっている場合、飲酒運転同乗罪の刑事処分とともに、以下の行政処分が科されます。
運転者の飲酒状況 | 同乗者の行政処分 |
---|---|
0.25mg未満の酒気帯び運転 | 違反点数13点 免許停止(期間90日) |
0.25mg以上の酒気帯び運転 | 違反点数25点 免許取り消し(欠格期間2年) |
酒酔い運転 | 違反点数35点 免許取り消し(欠格期間3年) |
行政処分は運転者と同じ内容であり、同乗者であっても重い処分が科される可能性もあるため注意が必要です。
飲酒運転だと知らずに同乗していた場合
飲酒運転だと知らずに同乗していた場合、基本的に同乗者は責任を問われません。
たとえば、車で迎えにきてもらい、運転者が飲酒している事実に気づかないまま同乗したケースでは、飲酒運転同乗罪の適用要件を満たさないため無罪となります。
ただし、一緒に飲酒をした後に同乗したり、運転者が明らかに酒に酔っていると判断できる状態であったりした場合、同乗罪が成立する可能性が高いでしょう。
飲酒運転を知らなかったと嘘をついた場合
飲酒運転を知っていながら、警察などの捜査機関に対して知らなかったと嘘をついた場合、嘘が発覚したときに罪が重くなる可能性があります。
その場では嘘をつきとおせたとしても、後々の運転者の取り調べなどによって飲酒の事実を知っていたと証明されるケースもあるでしょう。
処分を免れるために嘘をつくのはリスクが大きいため、飲酒を知っていた事実があれば正直に伝えるのが賢明です。
飲酒運転の同乗者の問題で悩んだら
飲酒運転は重大な交通違反であり、飲酒をした運転者だけでなく、同乗者も飲酒運転同乗罪の責任を問われる可能性があります。
もし飲酒運転の同乗者としてトラブルに巻き込まれた場合や、予防策について相談したい場合は、専門家である弁護士に相談するのをおすすめします。
弁護士であれば、状況に応じたアドバイスを受けられるため適切な対応策が見つかるでしょう。
当事務所のWEBサイトをご覧いただきありがとうございます。福井県内での移動は、車での移動が当たり前の「車社会」になっています。ただし、その反動として、福井において、不幸にして交通事故に遭われてしまう方が多数いることも事実です。しかしながら、福井県民の中で、交通事故の被害に遭ったときに弁護士の相談するという発想自体がないこと、弁護士が入れば適正な賠償金額を得ることが出来るということ等を知らない人が多いと実感しています。もし、皆様の周囲で交通事故被害に遭い、お悩みになられている方がいらっしゃいましたら、まずはお気軽にご相談下さい。