交通事故の7日加算とは?適用ケースや慰謝料との関係性
交通事故によるケガが原因で入院・通院をした場合、加害者側に対して入通院慰謝料の請求が可能です。
入通院慰謝料の計算には治療期間や通院日数が重要となりますが、「7日加算」と呼ばれる制度が適用されると慰謝料が増額する可能性があります。
今回の記事では、そもそも7日加算とはどのようなものなのか、またどのような状況で適用されるのかについて詳しく解説します。
適切な入通院慰謝料を受け取るために意識すべきポイントも紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。
交通事故における慰謝料の7日加算とは?
交通事故における慰謝料の「7日加算」とは、自賠責保険の入通院慰謝料の計算において、特定の条件を満たしたときに治療期間に加算される日数です。
自賠責保険の入通院慰謝料は、交通事故で入通院が必要となった際に請求できる慰謝料で、以下のように計算されます。
入通院慰謝料=日額4,300円×対象日数
【対象日数】 |
7日加算の適用条件を満たすと、上記の治療期間が7日間増えるため、受け取れる慰謝料が増額する可能性があります。
自賠責保険とは
自賠責保険とは、自動車やバイクを運転するすべての人に加入を義務付けられている強制保険です。
自動車やバイクの運転によって人を死傷させた人身事故を補償対象としており、損害内容に応じた支払限度額が定められています。
損害内容 | 限度額 |
---|---|
死亡 | 3000万円 |
ケガ(傷害) | 120万円 |
後遺障害 | 75万円~4000万円 |
交通事故で受けた損害が自賠責保険の限度額を超えるケースでは、超えた分を加害者が加入している任意保険、もしくは加害者本人に請求しなければなりません。
損害が大きく自賠責保険の補償だけでは不十分な場合は、弁護士に相談しアドバイスを受けるのをおすすめします。
交通事故慰謝料で7日加算が適用されるケース
交通事故の入通院慰謝料に7日加算が適用されるのは、主に次の4つのケースです。
・治癒見込|今後治癒すると見込まれる状態
・継続|継続して治療する必要がある状態
・転医|病院や医師を変更する場合
・中止|治療を中断する場合
7日加算が適用されるためには、自賠責指定の診断書に上記のいずれかが記載されている必要があります。
それぞれどのような状態を指すのか、以下で確認していきましょう。
治癒見込|今後治癒すると見込まれる状態
治癒見込とは、現時点では完全に治癒していないものの、今後治癒すると見込まれる状態です。
診断書に「治癒見込」と記載されている場合、7日加算が適用されます。
なお、「治癒」と記載されている場合には7日加算の対象ではないため、「治癒見込」との見間違いに注意しましょう。
継続|継続して治療する必要がある状態
継続とは、一旦治療が終了したものの、今後も継続的かつ計画的な治療が必要な状態です。
診断書に「継続」と記載されていれば、7日加算の対象となります。
治療を続けていく必要のあるケガだけではなく、精神疾患やてんかんなど、完治と判断するのが難しい状況でも継続と記載されるケースがあります。
転医|病院や医師を変更する場合
治療中に病院や担当医師を変更する必要が生じた場合、診断書に「転医」と記載されます。
転医の場合も、7日加算が適用されます。
被害者の意思で転院する際は、トラブルを防ぐためにも事前に加害者側の保険会社に伝えたり、現在通院している病院から紹介状をもらったりするなどの対策を行いましょう。
中止|治療を中断する場合
治癒していないものの、なんらかの理由で治療を中断した場合、診断書に「中止」と記載されます。
診断書に中止と記載されていれば、7日加算の対象です。
これ以上治療を続けても症状の改善が見込めない「症状固定」と判断された場合も、中止と記載されるケースがあります。
交通事故で7日加算が適用されると慰謝料は増える?
交通事故で7日加算が適用されると、通常の入通院慰謝料に追加される形で慰謝料が増える可能性があります。
しかし、慰謝料が増えるかどうかは個別の状況によって異なるため注意が必要です。
・7日加算で慰謝料が増額する例
・7日加算で慰謝料が増額されない例
慰謝料が増えるケースと増えないケースについて、以下で具体的に解説していきます。
7日加算で慰謝料が増額する例
7日加算によって自賠責保険の入通院慰謝料が増額する例として、治療期間が60日・通院日数が40日のケースを紹介します。
【通常の入通院慰謝料計算】 ・対象日数:治療期間の60日 (治療期間60日<実通院日数40日×2=80日) ・入通院慰謝料:4,300円×60日=258,000円 |
【7日加算適用後の入通院慰謝料計算】 ・対象日数:治療期間の67日 (治療期間60日+7日=67日<実通院日数40日×2=80日) ・入通院慰謝料:4,300円×67日=288,100円 |
自賠責保険の入通院慰謝料では対象日数のうち少ない方が採用され、7日加算が適用されるのは治療期間に対してのみです。
そのため、治療期間が対象日数となる場合であれば、上記の例のように7日加算によって入通院慰謝料が増額する可能性があります。
7日加算で慰謝料が増額されない例
一方で、7日加算で慰謝料が増額されない例として、治療期間が60日・通院日数が20日のケースを見ていきましょう。
【通常の入通院慰謝料計算】 ・対象日数:通院日数×2の40日 (治療期間60日>実通院日数20日×2=40日) ・入通院慰謝料:4,300円×40日=172,000円 |
【7日加算適用後の入通院慰謝料計算】 ・対象日数:通院日数×2の40日 (治療期間60日+7日=67日>実通院日数20日×2=40日) ・入通院慰謝料:4,300円×40日=172,000円 |
7日加算が適用されたとしても、「入院日数+(実通院日数×2)」が対象日数となる場合、入通院慰謝料の計算には影響がないため増額されません。
また、交通事故による損害が大きく、損害額が自賠責保険の上限額を超えてしまうケースでも、7日加算による入通院慰謝料の増額は期待できないでしょう。
交通事故で適切な入通院慰謝料を受け取るためのポイント
交通事故で適切な入通院慰謝料を受け取るために意識しておくべきポイントは、以下のとおりです。
・医師から治療終了と判断されるまで通院を続ける
・一定以上の通院頻度を保つ
・整骨院に通う場合は医師から許可を得る
入通院慰謝料は入通院による精神的損害に対する慰謝料であり、受け取るためには医療機関で治療を受けるとともに、計画的に通院する必要があります。
基本的には医師の指示に従って治療を継続し、自己判断で中断しないように気をつけましょう。
また、整骨院での施術は、交通事故のケガに必要な治療と認められない可能性があるため注意が必要です。
整骨院に通う際は、事前に医師から許可を得た上で、整形外科と併用して通院するのをおすすめします。
交通事故慰謝料の7日加算で悩んだら弁護士に相談しよう
交通事故による慰謝料の計算は複雑で、専門知識がなければ適切に判断するのは難しいです。
7日加算の適用可否や慰謝料額に不安がある場合は、専門家である弁護士に相談するのをおすすめします。
弁護士は法的知識や経験を活かして、適切な慰謝料を受け取るためのアドバイスを提供してくれます。
安心して治療に専念するためにも、交通事故に巻き込まれてしまった際は早めの相談を検討してみてください。
当事務所のWEBサイトをご覧いただきありがとうございます。福井県内での移動は、車での移動が当たり前の「車社会」になっています。ただし、その反動として、福井において、不幸にして交通事故に遭われてしまう方が多数いることも事実です。しかしながら、福井県民の中で、交通事故の被害に遭ったときに弁護士の相談するという発想自体がないこと、弁護士が入れば適正な賠償金額を得ることが出来るということ等を知らない人が多いと実感しています。もし、皆様の周囲で交通事故被害に遭い、お悩みになられている方がいらっしゃいましたら、まずはお気軽にご相談下さい。