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交通事故でかかる裁判費用の目安と内訳

2023年07月14日

交通事故に巻き込まれると、被害者は身体的なダメージだけでなく、精神的なストレスや経済的な負担も少なからず生じます。

とくに、事故の相手方との交渉が難航し、裁判に発展するケースでは、その費用は思っている以上に高額となる可能性もあるでしょう。

今回の記事では、交通事故の裁判にかかる費用について解説していきます。

裁判費用を相手方へ請求できるかどうかも解説するため、ぜひ参考にしてみてください。

 

交通事故の裁判にかかる費用

交通事故の裁判には、主に次の3つの費用がかかります。
・申立手数料
・郵便料
・弁護士費用

それぞれどのような費用なのか、以下で具体的に見ていきましょう。

裁判手数料

裁判を提起する際は、裁判所に申立手数料を支払います。

申立手数料の金額は加害者側に請求する損害賠償金額によって異なり、具体的な金額は以下のとおりです。

請求する損害賠償金額 裁判手数料
100万円以下 10万円ごとに1,000円
100万円超え500万円以下 20万円ごとに1,000円
500万円超え1,000万円以下 50万円ごとに2,000円
1,000万円超え10億円以下 100万円ごとに3,000円
10億円超え50億円以下 500万円ごとに1万円

一定の損害賠償金額ごとに手数料の区分があり、たとえば300万円の損害賠償金を請求する場合、以下のように計算されます。

・100万円までの部分:10万円ごとに1,000円のため、1万円
・100万円超え300万円までの部分:20万円ごとに1,000円のため、1万円
・合計2万円の申立手数料

裁判手数料の計算は少々複雑で間違えやすいため、注意して確認しましょう。

郵便料

郵便料は、裁判所から当事者へ書類を送付する際に使われる費用です。

一般的には、裁判提起時に郵便切手もしくは現金によって一定額を納付します。

たとえば東京地方裁判所の場合、原告と被告がそれぞれ1名ずつの場合は6,000円の郵便料がかかり、当事者が1名増えるごとに2,000円ずつ加算されます。

具体的な金額は裁判所によって異なるため、事前に確認しておくといいでしょう。

弁護士費用

弁護士費用は、裁判にあたって弁護士に依頼する場合に発生する費用です。

主な弁護士費用は依頼する際にかかる「着手金」と、事件解決時に支払う「報酬金」の2つにわけられ、日弁連による旧基準は以下のようになっています。

経済的利益 着手金 報酬金
300万円以下 経済的利益の8% 経済的利益の16%
300万円超え3,000万円以下 経済的利益の5%+9万 経済的利益の10%+18万円
3,000万円超え3億円以下 経済的利益の3%+69万円 経済的利益の6%+138万円
3億円超え 経済的利益の2%+369万円 経済的利益の4%+738万円

現在も旧基準を採用している弁護士事務所もありますが、異なる基準を採用している場合もあるため、費用総額は依頼する弁護士に直接確認するようにしてください。

 

交通事故の裁判でかかる可能性のある費用

交通事故の裁判でかかる可能性のある費用は、次の3つです。
・控訴・上告した場合の申立手数料
・裁判記録の謄写費用
・証人への日当・交通費

裁判の状況によってはこれらの費用も支払う必要があるため、事前に把握しておきましょう。

各費用について、以下で詳しく解説していきます。

控訴・上告した場合の申立手数料

控訴や上告した際にも、申立手数料がかかります。

「控訴」とは、第一審の判決に不服がある場合に、裁判所に対して再度の審理を求める手続きを指します。

また、控訴の結果にも不服がある場合は、さらに上級の裁判所で再度の審理を申し立てる「上告」が可能です。

申立手数料の金額は、控訴であれば通常の既定額の1.5倍、上告の場合は2倍となっています。

裁判記録の謄写費用

裁判記録の謄写とは、訴訟を起こした記録のコピーです。

謄写が必要な場合は、裁判所に備え付けられた閲覧・謄写申請書に必要事項を記入して申請しましょう。

東京地方裁判所の例では、事件の取り扱い中に当事者が申請する場合は無料、事件確定後に申請する場合は1件につき150円の収入印紙が必要です。

謄写費用は裁判所によって異なる可能性もあるため、注意してください。

証人への日当・交通費

裁判の中で証人尋問が行われると、証人に対する日当や交通費が発生します。

日当の法律・規則では、1日あたり8,050円以内と定められています。

交通費は公共交通機関を利用した際の金額を支払うのが一般的で、特別な事情がない限りタクシーの利用は認められません。

 

交通事故による裁判の基本的な流れ

交通事故で裁判を起こす基本的な流れは、以下の通りです。
1. 裁判所へ訴状を提出する
2. 第一回口頭弁論期日の指定
3. 争点整理・証拠の提出
4. 和解勧告・和解協議
5. 和解が不成立の場合証人尋問・本人尋問
6. 裁判所による判決言渡

口頭弁論の後、和解が成立すれば裁判終了となりますが、和解不成立の場合は判決によって終了するのが一般的です。

判決に不服があった場合は、さらに控訴や上告手続きへ進むケースもあります。

交通事故裁判が終わるまでの目安期間

交通事故裁判が終わるまでの期間はさまざまな要素によって変わりますが、一般的に訴訟提起から判決が下るまで約6ヶ月から1年以内で終了するケースが多いです。

ただし、一審の判決に納得できず、控訴や上告手続きを行うとさらに時間がかかります。

また、事故の内容や証拠の量、当事者間の意見の対立度などにより、裁判所の手続きが複雑化して2~3年かかる可能性もあるでしょう。

 

交通事故による裁判費用は相手方へ請求できる?

交通事故裁判における裁判費用については加害者が負担することもありますが、すべての費用が被害者に補償されるわけではありません。
・裁判費用(弁護士費用は除く)は勝訴すれば加害者負担
・弁護士費用は勝訴しても一部のみ
・裁判を起こす時点では提訴側が支払う

裁判費用の負担について、上記の項目別で詳しく確認していきましょう。

裁判費用(弁護士費用は除く)は勝訴すれば加害者負担

裁判に勝訴した場合、裁判費用(弁護士費用は除く)は原則として加害者側が負担します。

敗訴した当事者が裁判費用を負担するのは民事訴訟法で定められた規定であるため、勝訴できれば、裁判にかかった申立手数料や郵便料等は加害者に請求可能です。

勝訴によってすべての金額を加害者に負担してもらえるとは限りませんが、負担割合は基本的に加害者側が多くなるでしょう。

なお、和解によって解決する場合については、通常、裁判費用は各自の負担となります。

弁護士費用は勝訴しても一部のみ

交通事故の裁判に勝訴すると弁護士費用も加害者側に請求できますが、全額を請求できるわけではありません。

実際の裁判では、損害額の1割に相当する金額の賠償を認められるケースが多いです。

賠償上限額を超えた分の弁護士費用は、被害者自身で負担しなければならないため注意しましょう。

裁判を起こす時点では提訴側が支払う

裁判を起こした時点での初期費用は、提訴側が支払う必要があります。

初期費用として挙げられるのは、主に裁判の申立手数料・郵便料・弁護士への着手金などです。

勝訴すれば一部の裁判費用は加害者側から回収できますが、一旦は自己負担となる点は理解しておきましょう。

 

交通事故の裁判費用で悩んだら早めに弁護士へ相談しよう

交通事故による裁判には、裁判手数料や弁護士費用だけでなく、さまざまな費用が発生します。

加害者側に裁判費用を請求できるケースも多いですが、すべての費用を負担してもらえるとは限りません。

交通事故で裁判を起こす場合は、まず弁護士へ相談し、全体の費用感も含めて専門家の視点からのアドバイスを求めましょう。

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