示談金と慰謝料の違いは?
2023年09月11日
交通事故が起きた際、しばしば出てくる用語として「示談金」と「慰謝料」があります。
示談金と慰謝料は一般的に混同されているケースが多く、言葉の意味や違いを理解している人は少ないでしょう。
今回の記事では、示談金と慰謝料の違いや、どのような状況で使われるのかを詳しく解説していきます。
慰謝料の種類や算定基準、示談の意味についても解説するため、ぜひ参考にしてみてください。
示談金と慰謝料の違い
示談金は、示談によって当事者同士が合意した金額を指し、慰謝料は被害者の精神的苦痛を補償するために支払われる金額を指します。
示談交渉で解決する交通事故問題であれば、慰謝料は示談金の中に含まれるのが一般的です。
示談金と慰謝料にそれぞれどのような特性があるのか、以下で具体的に解説していきます。
示談金とは?
示談金は、紛争や問題を解決するために被害者と加害者で話し合い、双方の合意によって支払われる金額です。
示談交渉によって問題を解決する場合は、基本的に被害者に対して支払われる費目すべてが示談金に含まれます。
そのため、交通事故における示談金には、被害者の治療にかかった費用や損害賠償、慰謝料などを含めるのが一般的です。
なお、事故の状況や被害の程度、交渉の内容によっても示談金の金額は大きく異なります。
慰謝料とは?
慰謝料は、加害者側の違法行為や不当な行為によって、被害者が受けた精神的苦痛に対する補償を目的として支払われる金額です。
交通事故における慰謝料は、原則として人が死傷した人身事故の場合にのみ認められます。
物品が損壊しただけの物損事故では、通常は慰謝料の請求が認められないため注意が必要です。
請求できる慰謝料の項目は、被害者が受けた被害や状況などによって異なります。
4種類の慰謝料
交通事故の慰謝料は、大きく4つの種類に分類されます。
・入通院慰謝料
・後遺障害慰謝料
・死亡慰謝料
・近親者慰謝料
交通事故で受けた被害によって、請求できる慰謝料が異なります。
それぞれどのような場合に請求できる慰謝料なのか、次で詳しく見ていきましょう。
入通院慰謝料
入通院慰謝料は、被害者が交通事故によって医療機関で治療を受ける必要が生じた場合に請求できる慰謝料です。
この慰謝料は、通院や入院に伴う精神的なストレスや苦痛を補償する目的で支払われます。
基本的に、治療が終わるまでの日数によって慰謝料額を決めるケースが多いです。
適切な入通院慰謝料を請求するためには、交通事故後すぐに医療機関を受診し、医師の判断に従って最後まで治療を続ける必要があります。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料は、交通事故のケガが原因で、被害者に後遺障害が残ってしまった場合に請求できる慰謝料です。
後遺障害には症状に応じて1級〜14級の等級があり、1級に近づくほど症状が重く、慰謝料も高額になるのが特徴です。
加害者側に後遺障害慰謝料を請求するためには、事故が原因で残った後遺症の症状を専門機関へ申請し、後遺障害として認定を受ける必要があります。
死亡慰謝料
死亡慰謝料は、交通事故によって被害者が亡くなった場合に請求できる慰謝料です。
被害者が死亡にいたるまでの精神的苦痛に対して支払われる慰謝料ですが、実際の受取人は遺族などの相続人となります。
被害者の家庭内での立場や状況によって、慰謝料額が算定されるのが一般的です。
近親者慰謝料
近親者慰謝料は、被害者が交通事故で亡くなった、または重傷を負って重度の後遺障害が残った場合に、被害者の近親者が請求できる慰謝料です。
被害者本人に対する慰謝料とは別で、家族などの近親者が受けた精神的苦痛に対して支払われます。
近親者慰謝料の請求が認められるのは、被害者が死亡した場合、もしくは重度の後遺障害が残り将来的な介護が必要な場合など、著しい精神的苦痛を受けたケースに限られます。
慰謝料の算定に用いられる基準
慰謝料を算定する基準には、主に自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つがあります。
自賠責基準は、交通事故被害者への最低限の補償を目的とする自賠責保険の基準であるため、もっとも算定金額が低いです。
任意保険基準は保険会社によって算定方法が異なりますが、一般的に自賠責基準と同等もしくは少し高い程度とされています。
弁護士基準は過去の裁判例をもとにして慰謝料を算定するため、3つの基準の中でもっとも高額となりやすいのが特徴です。
慰謝料以外の示談金一覧
交通事故の示談金には、慰謝料以外にも以下のような費目が含まれます。
・治療費
・入院費
・通院交通費
・車両の修理費
・付添看護費
・器具等購入費
・葬儀関係費
・休業損害
・逸失利益
実際に請求できる金額は、被害者が受けた被害状況や程度によって異なります。
交通事故が原因で生じた費用は、支払った金額を証明するために領収書を受け取って保管しておくようにしましょう。
そもそも示談とは?
示談とは、争いごとや紛争を裁判などの法的な手段をとらずに、当事者間での話し合いによって解決する手続きです。
交通事故の示談交渉では、加害者側と被害者側双方の過失の割合や、損害賠償の内容・金額を決定します。
・示談交渉を進める時期
・示談書の内容
・示談で解決しない場合
上記の内容について、以下で具体的に確認していきましょう。
示談交渉を進める時期
示談交渉の進める時期は、制限が決まっているわけではありません。
しかし、被害者に対して支払われる最終的な金額を決定するため、交通事故によるケガが完治した後、または後遺障害認定を受けた後に交渉をはじめるのが望ましいです。
早い段階で示談を進めてしまうと、後から後遺症などが発覚した場合に追加で示談金を請求するのが難しくなる可能性があります。
また、被害者が亡くなってしまった場合には遺族が交渉する必要があるため、ある程度状況が落ち着いてから示談を進めるようにしましょう。
示談書の内容
示談書には正式な書式があるわけではありませんが、トラブルを防止するために以下の内容を記載するのが一般的です。
・示談書を作成した日付
・加害者と被害者双方の名前と住所
・事故の発生日時と場所
・事故内容
・事故車の所有者とナンバー
・示談で合意した内容
・支払い金額
・支払い方法と期日
示談金額は一括払いで受け取るのがもっとも確実ですが、加害者側の経済状況によっては分割払いとなるケースもあるでしょう。
支払いを確実なものとするために、支払い方法だけでなく詳細な支払期日も記載しておく必要があります。
示談で解決しない場合
当事者間の合意にいたらず、示談が不成立となった場合は、別の方法で問題解決を目指す必要があります。
示談で解決できない場合の選択肢として挙げられるのは、次の3つです。
・交通事故紛争処理センターでの示談あっせん手続き
・民事調停
・民事裁判
裁判手続きに進む選択肢もありますが、大きな手間と時間がかかってしまいます。
話し合いを重ねることで解決できる余地がある場合には、交通事故紛争処理センターでの示談あっせん、または民事調停から検討してみるのがいいでしょう。
必要に応じて弁護士に相談しよう
慰謝料は精神的苦痛に対する補償として特化している一方、示談金は交通事故の問題解決のために支払われる金額全般を指します。
交通事故の被害者には、慰謝料を含む示談金を請求できます。
加害者側から提示された示談金に納得がいかない場合や、示談交渉がスムーズに進まない場合は、早めに専門家である弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士に依頼すると慰謝料を弁護士基準で算定できるため、被害状況に応じた適切な金額を請求できる可能性が高くなります。
当事務所のWEBサイトをご覧いただきありがとうございます。福井県内での移動は、車での移動が当たり前の「車社会」になっています。ただし、その反動として、福井において、不幸にして交通事故に遭われてしまう方が多数いることも事実です。しかしながら、福井県民の中で、交通事故の被害に遭ったときに弁護士の相談するという発想自体がないこと、弁護士が入れば適正な賠償金額を得ることが出来るということ等を知らない人が多いと実感しています。もし、皆様の周囲で交通事故被害に遭い、お悩みになられている方がいらっしゃいましたら、まずはお気軽にご相談下さい。
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