交通事故における免責証書とは?記載内容は?
2025年04月7日
交通事故に遭った後、保険会社や加害者側から「免責証書」への署名を求められる場合があります。
免責証書は損害賠償請求にかかわる重要な書類であるため、内容を理解せずにサインするのは非常に危険です。
今回の記事では、免責証書の効力や示談書との違い・確認すべき項目などについて解説します。
免責証書に関する誤解やトラブルを避けるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
交通事故における「免責証書」とは?
免責証書とは、交通事故の被害者が加害者からの賠償を受ける代わりに、今後追加の請求を行わないことを約束する書類です。
通常であれば保険会社の担当者が作成し、被害者に対して署名・捺印を求めます。
しかし、内容を十分に理解せずに署名してしまうと、不利益を被る可能性があるため注意が必要です。
免責証書にはどのような効力があるのか、またよく混同されがちな示談書との違いについて、以下で解説していきます。
免責証書の効力
免責証書に署名・捺印すると、その事故に関して記載されている金額以上の損害賠償請求ができなくなります。
たとえ治療が長引いたり、後遺障害が発覚したりしても、原則として追加の請求は認められません。
そのため、署名前に必ず内容を読み込み、不明点や疑問点がないかを確認する必要があります。
記載内容や金額に納得できない場合は、弁護士への相談も検討しましょう。
示談書との違い
免責証書と混同されやすい書類として、「示談書」があります。
示談書は、事故に関する損害賠償の条件について、当事者間で合意した内容をまとめた書類です。
一方、免責証書は事故の内容や損害賠償の金額を確認した上で、今後一切の請求を行わないことを約束する書類です。
免責証書は被害者の署名のみで済むため、当事者双方の署名が必要な示談書よりもすぐに書類を取り交わせるという違いもあります。
交通事故の免責証書に記載される主な内容
交通事故の免責証書には、主に以下のような内容が記載されます。
・当事者や事故に関する情報
・損害賠償に関する内容
・賠償金の支払い方法
・清算条項
・後遺障害の取り扱い
免責証書を受け取った際は、それぞれの項目に不備や曖昧な点がないかを丁寧に確認しましょう。
以下では、各項目について詳しく解説していきます。
当事者や事故に関する情報
免責証書には、交通事故の当事者の氏名や住所、事故が発生した日時・場所といった基本情報が記載されます。
当事者情報や事故内容は、どの事故に関する書類であるかを明確にするために必要です。
とくに複数人が関与している事故の場合、情報の記載ミスによって誤解やトラブルが生じるおそれがあります。
求める内容で免責証書を作成するためにも、自身の情報や事故発生時の情報に誤りがないか必ず確認するようにしましょう。
損害賠償に関する内容
免責証書には、損害賠償の金額や内訳も記載されます。
内訳として記載されるのは、治療費・通院交通費・修理費・慰謝料などの賠償内容とそれぞれの金額です。
署名・捺印した後は、基本的に免責証書に記載された賠償金以外の請求は認められません。
記載されている賠償範囲が実際に被った損害と合っているか、また不足している項目がないかをしっかり確認しておきましょう。
自身での判断が難しい場合、交通事故問題に精通した弁護士に相談してアドバイスを受けることが有効です。
賠償金の支払い方法
支払い方法や期日などの支払い条件も、免責証書を確認する上で重要なポイントです。
記載内容に不備があると、支払いが遅れたり、賠償金を受け取れなかったりするリスクが生じます。
「いつ」「どこへ」「いくら」支払われるのかが明確に書かれているかどうかのチェックが必要です。
なお、振込先口座は被害者自身で記載する形式になっているケースも多いため、間違いのないよう慎重に記載しましょう。
清算条項
免責証書には、「清算条項」が記載されています。
清算条項とは「記載された賠償金を受け取ることによって、今後それ以外の請求を行わない」旨の記載です。
示談が成立し、賠償金が支払われた後のトラブルを防止するために記載されます。
後から気づいた損害についても請求が困難になるため、免責証書全体の内容をしっかり確認し納得した上で署名・捺印しましょう。
後遺障害の取り扱い
免責証書には、後遺障害の取り扱いについて記載される場合があります。
後遺障害とは、交通事故によるケガを治療した後に残った「機能障害」や「神経症状」などを指します。
後遺症が残り後遺障害等級が認定されると、加害者に対して治療費などとは別で後遺障害に関する賠償金の請求が可能です。
しかし、免責証書を取り交わした後に後遺障害が発覚した場合、追加で請求するのは困難になります。
そのため、免責証書には「後から後遺障害が発覚した場合はあらためて交渉する」といった旨を記載しておくことが有効です。
後遺障害が発生する可能性のあるケースでは、弁護士への相談も検討してみてください。
交通事故の免責証書が届いたときに弁護士に相談するメリット
交通事故の免責証書を受け取った際は、内容を十分に理解した上で対応しなければなりません。
しかし、免責証書の内容が適切かどうかを一人で判断するのは難しく、不利益を被るリスクもあります。
そのような場合に弁護士に相談することで、次のようなメリットが得られます。
・事故の相手方との交渉を任せられる
・提示された免責証書や賠償金が適正か判断してもらえる
・訴訟に発展したときもサポートを受けられる
それぞれのメリットについて、以下で詳しく確認していきましょう。
事故の相手方との交渉を任せられる
弁護士には交通事故の相手方との交渉を任せられるため、自身で交渉するストレスやリスクを軽減できます。
加害者や保険会社とのやり取りは精神的にも負担が大きく、専門知識が求められる場面も多いでしょう。
弁護士が代理人として交渉を行えば、法的根拠にもとづいた対応が可能となり、不当な条件の免責証書に合意してしまう心配もなくなります。
「話し合いが苦手」「強く主張されて不安」と感じたときは、弁護士への依頼を検討しましょう。
提示された免責証書や賠償金が適正か判断してもらえる
弁護士に相談することで、相手方から提示された免責証書や賠償金が適正か判断してもらえます。
提示された免責証書や賠償金の内訳が妥当かどうかは、専門的な視点がなければ判断が難しいです。
弁護士であれば、過去の事例や相場にもとづいて、内容や金額の適否を客観的に評価できます。
また、提示された金額が相場よりも低ければ、適切な金額に修正して請求できるようサポートしてくれます。
免責証書や賠償金の妥当性を見極めるためにも、専門家である弁護士のアドバイスは有効です。
訴訟に発展したときもサポートを受けられる
もし示談が成立せず、訴訟に発展した場合でも、弁護士に依頼すれば一貫したサポートを受けられます。
免責証書の記載内容や交渉の経緯が争点になることもあるため、法的な手続きの流れを理解している専門家の助言は非常に有効です。
弁護士がいれば書類の作成から裁判における主張まで対応してもらえるため、訴訟に対しても安心して臨めるでしょう。
交通事故の免責証書で不明点があれば早めに弁護士に相談しよう
免責証書は、交通事故などのトラブルを解決するために作成される書類です。
一度承諾してしまうと、原則として変更や取り消しは認められません。
そのため、内容を正しく理解した上で、適正な金額であるかどうかを判断する必要があります。
少しでも不安や疑問がある場合は、早めに弁護士への相談を検討しましょう。
専門知識をもつ弁護士のアドバイスやサポートを受けることで、納得のいく結果につながりやすくなります。

当事務所のWEBサイトをご覧いただきありがとうございます。福井県内での移動は、車での移動が当たり前の「車社会」になっています。ただし、その反動として、福井において、不幸にして交通事故に遭われてしまう方が多数いることも事実です。しかしながら、福井県民の中で、交通事故の被害に遭ったときに弁護士の相談するという発想自体がないこと、弁護士が入れば適正な賠償金額を得ることが出来るということ等を知らない人が多いと実感しています。もし、皆様の周囲で交通事故被害に遭い、お悩みになられている方がいらっしゃいましたら、まずはお気軽にご相談下さい。