外国人被害者の交通事故
- 福井にも、中国や韓国、フィリピン、ブラジル国籍の方を中心に多くの外国人の方が住んでいます。そのため、当事務所でも、外国人の方から法律相談や事件の依頼をうけるという機会が多くあります。外国人が被害者となる交通事故に関しては、以下のような点に、注意が必要です。
1 適用される法律
日本国内に滞在している外国人が、交通事故にあった場合については、原則として日本の民法の不法行為法が適用されることになります(法の適用に関する通則法17条)。ただし、交通事故により外国人が死亡した場合、相続に関しては、被害者の本国法が適用されることになりますので、注意が必要です(同法36条)。
2 一時滞在中の外国人の損害算定
外国人の在留資格が永住者である場合、日本人と全く同様の基準で、損害は算定されることになります。問題となるのは、一時滞在中の外国人の場合です。この場合、外国人は将来、帰国することが前提となるため、通常の交通事故とは扱いが異なります。
①基礎収入の認定
一時滞在者の場合は、滞在可能期間については日本国賃金基準で計算し、滞在期間経過後は被害者の本国賃金基準で計算することになります。
②慰謝料
傷害慰謝料に関しては、日本人と同様の基準となります。後遺障害慰謝料・死亡慰謝料に関しては、被害者が日本より生活水準の低い国の場合、日本人よりも低めに算定されるケースが多いです。
3 適切な賠償金を得るためには
一時滞在中の外国人被害者の場合、適切な賠償金を得るためには、日本滞在中にどれくらいの収入を得られたか、帰国後どのくらいの収入を得られるか、いつまで日本に滞在できたかなどを、きちんと保険会社や裁判所に主張していかなければなりません。そのため、適切な賠償金を得るためには、早期に弁護士に相談されることをお勧めします。