過失相殺について疑問を感じたら必ず弁護士に相談を
「こちらにも2割の過失があるといわれているがこれは妥当か?」というような過失相殺について、ご不満や疑問はございませんか?交通事故のご相談をお受けする際、この過失相殺についてのご相談は、とても多いです。実際、交通事故の解決については、過失相殺が争点となることは多く、ここが弁護士の腕の見せどころであったりします。
そこで、今回は、相談が多い過失相殺について取り上げたいと思います。
本記事を読むことによって、過失割合についての基本的な考え方が理解することができるかと思います。
交通事故被害者の皆様の適正な賠償の獲得のお助けになることを期待して、本記事を書いています。
適正な賠償を得るために必要なこと
まず結論から言います。
過失相殺についてはきちんとした検討と主張・立証をしなければ適正な賠償を得ることができません。
そのため、過失相殺における過失割合について、安易に保険会社の言うことに合意せず、疑問を感じたら、必ず弁護士に相談してください。
当事務所では、これまで何百件もの交通事故の法律相談を行っており、その中で過失相殺が争点になるケースを数多く扱ってきました。
そうした経験から言えることは、「過失相殺」についてはきちんとした検討と主張・立証をしなければ適正な賠償を得ることができず、「過失割合」というものは交通事故の解決においては非常に重要なものだということです。
だからこそ、保険会社から過失相殺における過失割合について示された際に、安易に合意してはいけません。実は保険会社に過失割合について色々と言われてお悩みになられている方が少なくありません。過失割合などでお悩みになられている際にも、お一人でお悩みにならず、まずは交通事故に詳しい弁護士までご相談されることお勧め致します。
そもそも過失相殺とは?
交通事故は加害者一方に全ての過失があるわけではありません。
被害者が飛び出したり、信号無視をして道路を横断しようとしたりしたなど、被害者側にも交通事故の過失がある場合があります。
例えば、信号機が設置されていない通常の道路上を歩行者が渡っていて、直進してきた自動車と衝突し交通事故が発生した場合、歩行者の基本過失割合は20%になります。
「過失相殺」とは、損害賠償金額を決める際に、加害者側と被害者側の過失の割合に応じて、被害者側の過失を損害賠償金額から差し引いて賠償することです。
仮に、被害者に20%の過失があるとすると、獲得できる損害賠償金は20%減額されてしまうことになります。この場合、被害者の損害賠償額の総額が100万円だとすると、そこから20万円が減額されることになります。
特に、重大な事故に遭われた被害者にとっては、過失割合が10%~20%変わるだけで、数百万円~数千万円レベルで、受け取れる金額に差が出てきます。
適正な賠償金を獲得するためには、過失相殺で安易に妥協してはいけません。
過失割合はどうやって決まるものなのか?
原則として、過失割合は『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準』(判例タイムズ社)をベースに決定されます。
この本は、民事交通訴訟における過失相殺率の認定・判断基準を示したもので、裁判はもちろん、示談の場面においても、この本に示されている過失割合を基準にして、過失割合が決定されるケースがほとんどです。
そのため多くの場合この本を、裁判所、弁護士、保険会社は判断の基準として使用しています。
例えば、この本によると、以下のような事故の時、他に何ら特別な事情がない場合は、一時停止の規制がない側の運転手に20%の過失、一時停止の規制のあった運転手の側に80%の過失があるとの判断がされます。
①四輪車同士、②信号機がない交差点における直進車同士の事故、③片方に一時停止の規制あり、④車両の速度はお互い同程度の速度であった。
ただし、過失割合には色々な修正要素があります。
例えば、上記の事故において、一時停止の規制がない側の運転手に「著しい過失」が認められる場合には、10%の過失割合が修正され、一時停止の規制がない側の運転手に30%の過失、一時停止の規制のあった運転手の側に70%の過失があるとの判断がされます。
※「著しい過失」とは、例えば酒気帯び運転や著しい前方不注意、時速15キロメートル以上の速度違反に発生していたような場合などになります。
当事者で事故態様の言い分が異なることがよくあること
過失割合で争いがあるケースで多いのが、被害者の方の主張する事故態様と、加害者・相手方保険会社の主張する事故態様が異なっているというケースです。
このようなケースでは、いずれの事故態様であったかによって、大きく過失割合についての判断が変わることがあります。
そのような事例においては当事務所では、事故現場の確認(現地調査・実況見分調書・グーグルアースなど)、車の損傷状況の確認、ドライブレコーダーや防犯カメラの映像取得、類似判例・文献の調査等を行って、被害者の方の主張が認められるよう主張・立証活動を行ないます。
ここでの活動によって、被害者の方が最終的に取得できる金額に大きく差が出ることもあるため、弁護士としてはとても力を入れるところになります。
たとえ自分に過失がある場合でも検討しなければいけないこと
事故態様に争いがなく、たとえ被害者に過失があることが確実な事故においても、被害者は人身傷害補償保険等の自らの保険を上手く活用すれば、過失がなかった場合と同様に損害の補填ができる場合があります。
ただし、自らの保険を活用する場合については請求の順序が大事になり、ここで失敗すると損害全額の補填が出来ないこともあります。
そのため、自分に過失がある場合については、弁護士への相談が不可欠かと思います。
当事務所の過失相殺の解決事例
当事務所がこれまで取り扱ってきた過失相殺が問題となった解決事例を紹介します。
このような事例を見ていただくと、保険会社の提示する金額と弁護士がサポートした場合に最終的に獲得できた金額との差がいかに大きいかがお分かりいただけるかと思います。
まとめ
過失相殺においては、検討しなくてはならないポイントが多く、安易に相手の保険会社の言うことに合意してはいけません。
この記事を読んでいただいた方については、適正な賠償を得るためには、過失割合が重要だということを理解していただけたかと思います。
もし仮に過失相殺について疑問を感じているのであれば、まずは交通事故を多く取り扱っている弁護士に相談されることをおすすめいたします。