交通事故で弁護士特約が使えないケースと対処法
2023年07月10日
契約している保険に弁護士特約が付帯していれば、万が一交通事故に巻き込まれてしまった場合にも、費用負担なしで弁護士に依頼できる可能性があります。
便利な弁護士特約ですが、交通事故の状況によっては利用できない可能性もあるため注意が必要です。
今回の記事では、交通事故で弁護士特約を使えないケースについて詳しく解説していきます。
弁護士特約を使えないときの対処法も紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。
弁護士特約とは?
弁護士特約(弁護士費用特約)とは、自動車保険のオプションで付帯できる特約の一つです。
弁護士特約を利用すると、弁護士に法律相談する費用や弁護士費用などを保険会社が補償してくれます。
補償してもらえる限度額は、法律相談料なら10万円程度、着手金や報酬金と言った弁護士費用なら300万円程度とされるのが一般的です。
交通事故に関しては、弁護士費用が300万円を超えるケースは少ないため、負担なしで弁護士に相談・依頼できる可能性が高いといえます。
弁護士特約を使う流れ
弁護士特約を利用する一般的な流れは、以下のとおりです。
1. 加入している自動車保険に弁護士特約が付いているか確認する
2. 保険会社に弁護士特約を使う旨を連絡する
3. 依頼する弁護士を探し、委任契約を結ぶ
4. 弁護士が加害者側の保険会社と示談交渉を行う
5. 被害者の加入している保険会社が弁護士へ費用を支払う
弁護士特約を利用する際は、交通事故発生からなるべく早い段階で加入している保険会社に連絡してください。
保険会社から弁護士を紹介される場合もありますが、必ずしも紹介された弁護士に依頼する必要はないので、自分にとって信頼できる弁護士に依頼しましょう。
弁護士特約が使えない交通事故
弁護士特約はすべての交通事故で利用できるわけではなく、以下のように弁護士特約を使えないケースもあります。
・故意や重過失による交通事故
・自然災害による事故
・事業用の車の運転中の事故
・自分が賠償金を請求される側の場合
・請求相手が親族
ただし、弁護士特約の適用が除外される条件は保険会社によって異なるため、利用する前に必ず契約内容を確認しましょう。
弁護士特約を使えない可能性が高い交通事故について、以下でケース別に解説します。
故意や重過失による交通事故
弁護士特約が適用されない代表的なケースの一つとして、故意や重過失による交通事故があります。
被害者が故意に事故を起こした場合や、重過失行為によって事故が起きたと判断された場合は、弁護士特約は使えない可能性が高いでしょう。
重過失とされる行為には、たとえば無免許運転や酒気帯び運転、著しい法定速度超過などがあります。
自然災害による事故
自然災害による交通事故についても、弁護士特約が適用される可能性は低いです。
たとえば、大雨や台風などによる自然災害で車が破損した場合、これは交通事故とは別の範疇であるため、弁護士特約の対象外となります。
また、道路が冠水し視認性が低下している中で事故を起こした場合も、自然災害が原因であると判断され、弁護士特約の対象外となる可能性があります。
事業用の車の運転中の事故
事故を起こした車両が事業用車両であった場合、自動車保険の弁護士特約は適用されない可能性があります。
これは、事業用の車で起きた事故は労災保険で補償するべきという考えがあるためです。
ただし、契約内容によっては事業用車両であっても弁護士特約を利用できるため、事前に確認しておくといいでしょう。
自分が賠償金を請求される側の場合
自分が事故の相手方から損害賠償を請求される側になった場合、弁護士特約の適用が制限されるケースがあります。
弁護士特約が補償するのは、原則として自己が他者に対して損害賠償を請求するための費用であるためです。
ただし、過失割合や契約内容によっても適用範囲は異なるため、具体的な対応は加入している保険会社に確認する必要があります。
請求相手が親族
弁護士特約が適用されないケースの一つとして、損害賠償を請求する相手が親族である場合が挙げられます。
自動車保険では不正請求を防ぐ観点から、同一世帯の親族間での損害賠償請求は補償対象外となっている場合が多いです。
同じ家族間での交通事故であっても、別世帯であれば弁護士特約を利用できる可能性もあるため、契約内容を確認するようにしましょう。
保険会社が弁護士を使わせたくないケース
保険会社が弁護士特約を使わせたくないケースとして、以下のような事故が挙げられます。
・争いのない事故
・被害額の小さい事故
具体的にどのようなケースが保険会社に嫌がられやすいのか、以下で詳しく見ていきましょう。
争いのない事故
事故の過失割合や損害賠償額について争いのない事故では、弁護士特約を使用する必要性は低くなります。
当事者同士の話し合いで解決できるような場合であれば、専門的な法律的支援が必要ないケースも多いため、保険会社から弁護士特約の使用を渋られる可能性もあるでしょう。
しかし、争いがなかったとしても、被害者自身が納得できていない場合は、弁護士に相談しアドバイスを求めるのをおすすめします。
被害額の小さい事故
被害額の小さい事故についても、保険会社は弁護士特約の使用を控えさせたい傾向があります。
弁護士費用が被害額を上回る可能性があり、結果として保険会社の負担を増大させるためです。
しかし、被害者自身が納得のいく補償を受けるためには、弁護士への依頼が最善の手段となる可能性もあります。
弁護士特約は原則として被害の大小にかかわらず利用できるため、弁護士のサポートを受けたいときは積極的に活用しましょう。
弁護士特約を使えない場合の対処法
自動車保険の弁護士特約を使えない場合の対処法として挙げられるのは、次の2つです。
・他の保険やクレジットカードを確認する
・家族が加入している保険の契約を確認する
それぞれの対処法について、以下で詳しく解説していきます。
他の保険やクレジットカードを確認
自動車保険に弁護士特約が付いていない場合でも、ほかの保険やクレジットカードに付帯している弁護士特約を利用できる場合があります。
弁護士特約が付いている可能性のある保険としては、バイク保険や自転車保険・火災保険などが挙げられます。
自動車保険の契約に特約が付いていなくても、一度自身が加入している保険やクレジットカードの契約内容を確認してみるといいでしょう。
家族が加入している保険の契約を確認
自分が加入している保険に弁護士特約がない場合でも、家族が加入している保険の弁護士特約を利用できる可能性があります。
また、車の同乗者が保険に加入しており、事故車両に弁護士特約が付いていた場合は、特約を適用できるケースが多いです。
保険会社によって適用される範囲は異なりますが、家族や同乗者が契約している保険があれば契約内容を確認してみましょう。
弁護士特約が使えなくても交通事故を弁護士に依頼すべき?
弁護士特約が使えない場合であっても、弁護士に依頼するのは選択肢の一つとして考えるといいでしょう。
とくに、以下のようなケースは弁護士に依頼するメリットが大きいです。
・被害者に一切過失のないもらい事故
・事故の被害が大きく賠償金が高額になる可能性がある
・事故の相手方が弁護士を立てている
特約なしで弁護士に依頼する場合は、被害者自身で弁護士費用を支払わなくてはなりません。
しかし、専門家のサポートを必要とする状況であれば、弁護士に依頼した方が適切な損害賠償金を受け取れる可能性が高くなります。
交通事故の弁護士特約の範囲を理解して弁護士に依頼しよう
弁護士特約は交通事故処理に大いに役立つ保険特約ですが、その利用には一定の制約が存在します。
万が一に備えて、弁護士特約の契約内容はしっかりと把握しておくようにしましょう。
また、弁護士特約が使えない状況でも、場合によっては自己負担で弁護士に依頼することが最善の選択となる可能性もあります。
交通事故の対応で悩んだら、まずは交通事故に強い弁護士へ相談してみるのがおすすめです。
当事務所のWEBサイトをご覧いただきありがとうございます。福井県内での移動は、車での移動が当たり前の「車社会」になっています。ただし、その反動として、福井において、不幸にして交通事故に遭われてしまう方が多数いることも事実です。しかしながら、福井県民の中で、交通事故の被害に遭ったときに弁護士の相談するという発想自体がないこと、弁護士が入れば適正な賠償金額を得ることが出来るということ等を知らない人が多いと実感しています。もし、皆様の周囲で交通事故被害に遭い、お悩みになられている方がいらっしゃいましたら、まずはお気軽にご相談下さい。
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