駐車場で交通事故が起きた場合の対処法や過失割合について
2023年06月26日
今回の記事では、駐車場で起きた交通事故の対処法や、ケース別の過失割合について詳しく解説していきます。
特に気を付けるべき駐車場事故についても解説するため、ぜひ参考にしてみてください。
駐車場で事故が起きる割合
駐車場で事故が起きる割合は、全体の交通事故数の約3割といわれています。
駐車場事故の中では車同士の接触事故が約55%、駐車場内の施設物・工作物との接触事故が約30%です。
事故が起きやすい要因としては、駐車場内特有の車両の不規則な動きが挙げられます。
一般道とは異なる走行によって、安全確認が不十分になりやすいため、普段以上の注意力が必要といえるでしょう。
駐車場事故と一般的な交通事故の違い
駐車場事故と一般的な交通事故の主な違いとして挙げられるのは、過失割合の考え方があります。
駐車場には一般的に信号機・横断歩道・優先道路がないため、事故状況を証明することが難しいケースもあります。
そのため、駐車場内での車同士の事故では、相手方の保険会社から50対50に近い過失割合を提示されるケースが多いでしょう。
もし納得できない過失割合が提示された場合は、一度専門家である弁護士に相談しアドバイスをもらうのがおすすめです。
駐車場の事故は管理者に責任はある?
駐車場内で事故が起こった場合でも、基本的に当事者間で解決を図る必要があり、駐車場の管理者は関与しません。
しかし、駐車場に設置されているポールなどが危険な状態で管理されており、それが原因で事故が発生した場合は管理者にも責任が発生します。
(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任) 第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。 |
駐車場の管理者はポールなど工作物の所有者であるため、民法717条で規定されているとおり、事故の被害者に対する賠償責任を負う可能性があります。
駐車場で気を付けるべき事故
駐車場でとくに気を付けるべき事故は、次の2つです。
・接触事故
・当て逃げ
どちらも駐車場内で起きやすい事故とされています。
それぞれどのような事故か、以下で詳しく確認していきましょう。
接触事故
駐車場内では、以下のような接触事故が起きやすいです。
・車と車
・車と駐車場内のポールやフェンス
・車と歩行者
駐車場は柱や壁、ほかの車などで死角が発生しやすい上に、車と歩行者が頻繁に往来する場所です。
公道を走行するときとは状況が異なるため、周囲の車や歩行者の動きに十分注意を払い、速度を落として安全に運転する必要があります。
当て逃げ
当て逃げ事故も、駐車場内で起きやすい事故の一つです。
当て逃げとは、接触事故を起こしたにもかかわらず、停車したり通報したりせずそのまま走り去る行為を指します。
駐車されている車の場合、ドライバーが付近にいないケースが多いため、警察に届け出ずに立ち去ってしまう事故が多くなる傾向です。
当て逃げされて相手方の車がすでに立ち去っていた場合は、ドライブレコーダーや、駐車場に設置されている監視カメラなどの映像が証拠となる可能性があります。
事故の相手方がわからない状況でも、警察への連絡は忘れずに行いましょう。
駐車場で交通事故が起きた場合の対処法
駐車場で交通事故が起きてしまった場合は、焦らず以下のように対処しましょう。
1. 安全な場所に停車する
2. 負傷者を救護し、必要に応じて救急車を呼ぶ
3. 警察へ連絡する
4. 事故状況の確認や記録を行う
5. 保険会社へ連絡する
6. 軽いケガでも病院へ行き診断を受ける
突然の事故でパニックになってしまう可能性がありますが、まずは安全を確保した上で適切に対処することが大切です。
駐車場で事故が起きた場合の過失割合
駐車場で交通事故が起きた場合の過失割合について、次のケース別で解説します。
・駐車場の交差部分で出会い頭事故
・通路進行車と出庫車の事故
・通路進行車と入庫車の事故
・入庫車と歩行者の事故
・通路進行車と歩行者の事故
過失割合の目安を知っておくと、相手方の保険会社から提示された内容が適切であるか判断しやすくなります。
実際の過失割合は細かな事故の状況によって調整されるため、あくまでも目安として参考にしてみてください。
駐車場の交差部分で出会い頭事故
駐車場の交差部分で出会い頭に衝突した事故の過失割合は、以下のとおりです。
A車 | B車 | |
---|---|---|
基本の過失割合 | 50% | 50% |
A車が狭路かつB車が明らかに広い通路 | 60% | 40% |
B車が狭路かつA車が明らかに広い通路 | 40% | 60% |
B車の一時停止や通行方向の標示違反 | 30~35% | 65~70% |
B車のその他著しい過失 | 40% | 60% |
B車の重過失行為 | 30% | 70% |
同じ条件で出会い頭に衝突した場合、基本の過失は50対50となります。
通路の広さの違いや、どちらかに過失行為があった場合、それを加味して割合が調整されます。
通路進行車と出庫車の事故
駐車場の通路を進行するA車と、駐車スペースから出庫したB車の事故では、以下の過失割合が適用されます。
A車 | B車 | |
---|---|---|
基本の過失割合 | 30% | 70% |
A車のその他著しい過失 | 40% | 60% |
A車の重過失行為 | 50% | 50% |
通路進行車と出庫車では、出庫車の方が基本の過失割合は高くなる傾向です。
しかし、通路進行車になんらかの過失行為が認められた場合は、通路進行車側の過失割合が加算されます。
通路進行車と入庫車の事故
駐車場の通路を進行するA車と、駐車スペースに入庫するB車の事故の過失割合は、以下のとおりです。
A車 | B車 | |
---|---|---|
基本の過失割合 | 80% | 20% |
B車の著しい過失 | 70% | 30% |
A車の徐行なし | 90% | 10% |
A車の著しい過失 | 90% | 10% |
基本的には通路を進行するA車が80%、駐車スペースに入庫するB車が20%の過失割合です。
A車側が徐行せずに進行、もしくは著しい過失行為が認められると、さらに過失割合が加算されます。
入庫車と歩行者の事故
駐車場の駐車スペースに入庫する車と歩行者が接触した事故の過失割合は、以下のようになります。
入庫車 | 歩行者 | |
---|---|---|
基本の過失割合 | 90% | 10% |
歩行者が隣接スペースで乗降 | 100% | 0% |
歩行者が児童または高齢者 | 95% | 5% |
歩行者が幼児または身体障害者等 | 100% | 0% |
入庫車の著しい過失・重過失 | 100% | 0% |
入庫車に著しい過失や重過失行為があった場合だけでなく、歩行者が児童・幼児・高齢者であった場合にも、入庫車側の過失が加算されます。
通路進行車と歩行者の事故
駐車場内で通路を進行している車と歩行者が接触した事故では、以下の過失割合が適用されます。
進行車 | 歩行者 | |
---|---|---|
基本の過失割合 | 90% | 10% |
歩行者の急な飛び出し | 80% | 20% |
歩行者用通路標示上 | 100% | 0% |
歩行者が児童または高齢者 | 95% | 5% |
歩行者が幼児または身体障害者等 | 100% | 0% |
進行車の著しい過失・重過失 | 100% | 0% |
入庫車と歩行者の事故と同様に、過失割合は90対10となるのが基本です。
歩行者が急に飛び出した場合は10%程度の割合が調整されますが、車と歩行者の事故では、基本的に車側が不利になると考えておくのがいいでしょう。
駐車場内の交通事故で悩んだら弁護士に相談しよう
駐車場内は事故が起きやすい場所であるといえるので、普段以上に注意を払って運転する必要があります。
駐車場で交通事故が起きてしまった際には、慌てずに適切な対処を心がけましょう。
事故の相手方から提示された過失割合や損害賠償金額に納得がいかない場合は、交通事故問題に強い弁護士へ相談するのがおすすめです。
弁護士に依頼すると専門家の観点から適切なアドバイスを受けられる上、受け取れる損害賠償金の増額も期待できます。
当事務所のWEBサイトをご覧いただきありがとうございます。福井県内での移動は、車での移動が当たり前の「車社会」になっています。ただし、その反動として、福井において、不幸にして交通事故に遭われてしまう方が多数いることも事実です。しかしながら、福井県民の中で、交通事故の被害に遭ったときに弁護士の相談するという発想自体がないこと、弁護士が入れば適正な賠償金額を得ることが出来るということ等を知らない人が多いと実感しています。もし、皆様の周囲で交通事故被害に遭い、お悩みになられている方がいらっしゃいましたら、まずはお気軽にご相談下さい。
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