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サンキュー事故とは?

2023年03月25日

交通事故の類型の中には「サンキュー事故」と呼ばれるものがあります。

具体的にどのような事故をサンキュー事故というのか、過失割合や慰謝料がどうなるのか気になっている人は多いのではないでしょうか。

今回の記事では、サンキュー事故の事例や過失割合の決まり方、被害者が受け取れる慰謝料相場などについて解説していきます。

 

サンキュー事故とは?

サンキュー事故とは、渋滞中や交差点の道路で、優先度の高い車が優先度の低い車に通行を譲った際に起きる交通事故です。

道を譲られた側の運転手が、優先車両の好意に応えるために急いで進入してしまい、直進してきた車やバイクに衝突してしまうケースが多いです。

優先車両への感謝の気持ちによって注意散漫となり、事故が起きやすいことから、サンキュー事故と呼ばれています。

サンキュー事故の例

サンキュー事故の代表的な例として、発生件数の多い「右直事故」が挙げられます。

右直事故とは、交差点などで右折した車両と直進していた車両が衝突する交通事故です。

広い道路を直進していた車が、せまい道路から右折しようとしている車に道を譲り、右折したところで対向車線を直進していた別の車両と衝突するケースなどがあります。

また駐車場に入るために右折しようとしている車に、対向車線の直進車が道を譲り、右折したところで直進車の左側を走行していたバイクや自転車と衝突する事故も多いです。

通行を譲られた場合、先行車や対向車によって視界を遮断されている場合が多いため、死角から飛び出してきた車両同士で接触してしまいやすい状況になります。

サンキュー事故における過失割合

サンキュー事故における過失割合は、当事者が自動車とバイクどちらに乗車していたかによって異なります。

以下2つのケース別で、過失割合の決まり方を確認していきましょう。
・自動車とバイクの事故
・自動車同士の事故

過失割合は当事者双方に過失がどのくらいあるかを表した数値で、損害賠償金額にも大きく影響します。

交通事故の交渉で争点となりやすいポイントになるため、しっかり押さえておくようにしてください。

自動車とバイクの事故

自動車とバイクのサンキュー事故の場合、過失割合の目安は以下のとおりです。

発生場所 事故状況 自動車の
過失割合
バイクの
過失割合
交差点 右折車と対向を直進するバイクの衝突 85% 15%
交差点 右折車と左方を直進するバイクの衝突 80% 20%
交差点 右折車と右方を直進するバイクの衝突 70% 30%
交差点 渋滞中の車両間を右折した車両と直進するバイクの衝突 70% 30%
交差点以外 渋滞中の車両間を右折した車両と直進するバイクの衝突 75~80% 20~25%

自動車とバイクの接触事故の場合、バイク側に重大な過失がない限り、基本的に過失割合は自動車の方が大きくなります。

バイクの方が車体が小さく、交通事故に遭った際にケガを負うリスクが高いためです。

なお、いずれの過失割合も、信号のない道路での事故想定です。

信号のある道路の場合、事故発生時の信号機の色によって過失割合は大きく変動します。

自動車同士の事故

サンキュー事故で自動車同士が衝突した場合、過失割合の目安は以下のとおりです。

発生場所 事故状況 自動車の
過失割合
バイクの
過失割合
交差点 右折車と対向する直進車の衝突 80% 20%
交差点 右折車と左方にいる直進車の衝突 70% 30%
交差点 右折車と右方にいる直進車の衝突 60% 40%
交差点以外 道路外から右折した車と対向車線の直進車の衝突 80% 20%

相手方の車両をどの程度予測できる状況であったかによって、過失割合が変動します。

基本的に、直進車よりも優先度の低い右折車の方が、過失割合は高くなる傾向です。

なお、信号機の色・道幅・当事者の道交法違反の有無など細かな修正要素によって過失割合は異なります。

あくまでも典型的な事故類型における過失割合の目安として、参考にしてみてください。

 

サンキュー事故で知っておきたいこと

サンキュー事故で知っておきたいことを、次の項目別で解説します。
・サンキュー事故で受け取れる慰謝料
・サンキュー事故の慰謝料相場
・サンキュー事故の場合の保険会社の対応

示談交渉で損をしないために、各ポイントをしっかりと押さえておきましょう。

サンキュー事故で受け取れる慰謝料

サンキュー事故で受け取れる可能性のある慰謝料は、以下の3種類です。
・入通院慰謝料
・後遺障害慰謝料
・死亡慰謝料

入通院慰謝料は、交通事故が原因の入院・通院による精神的苦痛を補償するために支払われます。

交通事故でケガをした場合に請求でき、治療期間や入院期間が長いほど高額になりやすいのが特徴です。

後遺障害慰謝料は、交通事故のケガが後遺症として残った場合に、後遺障害等級申請をして認められると請求できます。

後遺障害等級は症状の程度に応じて1級~14級に分類され、1級に近いほど請求できる後遺障害慰謝料も高額になります。

死亡慰謝料は、交通事故の被害者が死亡した場合に請求可能です。

死亡した被害者本人に対して支払われるものと、遺族に支払われるものがあります。

サンキュー事故の慰謝料相場

サンキュー事故の慰謝料相場は、慰謝料の算定基準によって大きく異なります。

算定基準には自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準の3つがあり、弁護士基準がもっとも高額になるのが通常です。

ここでは、弁護士基準の慰謝料相場について紹介します。

慰謝料の種類 弁護士基準の慰謝料相場
入通院慰謝料 19万円~350万円程度
後遺障害慰謝料 110万円~2,800万円
死亡慰謝料 2,000万円~2,800万円

入通院慰謝料は通院期間と入院期間、後遺障害慰謝料は認定された等級、死亡慰謝料は被害者の家庭内での立場によって金額が異なります。

サンキュー事故の場合の保険会社の対応

サンキュー事故の場合の保険会社の対応について、注意すべきポイントは以下のとおりです。
・保険会社の担当者の言い分を鵜呑みにしない
・提示された過失割合や示談金が適正か確認する

交通事故の被害に遭った際、加害者に対して損害賠償請求を行います。

加害者が任意保険に加入している場合、交渉相手は任意保険会社の担当者になるのが通常です。

保険会社は営利目的で運営している企業であり、利益を優先するために相場よりも低い金額を提示してくるケースがあるので注意してください。

保険会社の担当者の言い分が必ずしも正しいとは限らないため、適正かどうかを慎重に判断した上で交渉を進めましょう。

 

サンキュー事故に巻き込まれたら早めに弁護士に相談しよう

サンキュー事故は事故当事者同士が納得できない事故状況が多く、過失割合や損害賠償金の交渉においてトラブルになりやすいです。

任意保険会社の担当者は示談交渉に慣れているため、被害者が不利な状況におかれてしまう可能性もあります。

もしサンキュー事故に巻き込まれたら、適切な損害賠償金を受け取るために、早い段階で専門家である弁護士に相談してアドバイスを受けましょう。

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