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交通事故の自賠責保険とは?特徴から補償例まで紹介

2022年09月2日

自賠責保険は交通事故が起きた際に、被害者が受けた損害を補償してくれるものです。

任意保険とは異なり、補償の対象は人身事故のみと限定され、補償額にも一定の上限が定められています。

今回の記事では、自賠責保険の特徴や受け取れる損害賠償金、補償範囲などについて詳しく解説していきます。

 

自賠責保険は運転者の加入義務がある

自賠責保険は、運転者に加入義務がある強制保険です。

交通事故の被害者を救済するための保険であり、自動車やバイクを運転するすべての人が加入しなければなりません。

一般的に車を購入した際に加入し、初回は3年、以降は2年ごとに更新していきます。

更新せずに保険期限が過ぎてしまうと未加入と同様の状態となるため、期限切れには注意が必要です。

自賠責保険未加入の場合は?

自賠責保険への加入は、自動車損害賠償保障法という法律で定められているため、未加入の場合は法律違反として罰せられます。

未加入の車で一般道を走行した場合の罰則は、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金です。

さらに違反点数6点が付加されるため、即座に免許停止処分となります。

自賠責保険に加入していないと車検も受けられないので、車を運転する前に必ず加入し、更新を怠らないよう気を付けましょう。

 

自賠責保険の特徴

自賠責保険は、交通事故の被害者に対して、最低限の補償が与えられるように制度化されたものです。

補償の対象となるのは、交通事故の当事者が死亡または負傷した「人身事故」のみとなります。

傷害・後遺障害・死亡の場合で、それぞれ法令によって限度額が決められているため、どの保険会社であっても支払われる保険金に差がないのが特徴です。

仮渡金制度

自賠責保険には、仮渡金という制度があります。

仮渡金制度とは、被害者が差し迫って必要な出費に対して、速やかに保険金を支払う制度です。

交通事故では基本的に治療がすべて終わってから示談交渉を行うため、損害賠償金を受け取れるまでの期間は、被害者自身で治療費などを立て替えておく必要があります。

そのため経済的な負担が大きい場合には、仮渡金制度を利用して当面必要なお金を確保しておくのがおすすめです。

仮渡金制度で受け取れる金額は、死亡の場合は290万円、傷害の場合は程度によって5万円・20万円・40万円のいずれかで決定されます。

 

自賠責保険の損害賠償金

自賠責保険の損害賠償金について、以下のケース別で紹介します。
・傷害による損害限度額
・後遺障害による損害限度額
・死亡による損害限度額

前述したとおり、自賠責保険では限度額が法令で定められているため、損害賠償金は限度額の範囲内で支払われます。

それぞれの限度額がいくらなのか、以下で詳しく確認していきましょう。

傷害による損害限度額

傷害による損害の限度額は、被害者一人につき120万円です。

自賠責保険で補償されるのは、以下の費用となります。
・治療関係費(治療費・看護料・義肢等の費用・診断書等の費用・諸雑費)
・文書料
・休業損害
・慰謝料

それぞれ実際にかかった費用、もしくは決められた一定の金額が支払われます。

後遺障害による損害限度額

後遺障害による損害の限度額は、被害者一人につき最大4,000万円です。

交通事故で後遺症が残ってしまった場合に後遺障害認定を申請すると、症状の程度に応じた後遺障害等級が認定される場合があります。

第1級から第14級までの等級があり、認定された等級によって自賠責保険の限度額も異なります。

神経系統の機能、または精神・胸腹部臓器の著しい傷害であった場合の限度額は、常時介護を要する第1級で4,000万円、随時介護を要する第2級で3,000万円です。

そのほかの後遺障害については、第1級の3,000万円~第14級の75万円まで一定の限度額が定められています。

死亡による損害限度額

死亡による損害の限度額は、被害者一人につき3,000万円です。

自賠責保険の支払対象となるのは、以下の費用となります。
・葬儀費用
・逸失利益
・慰謝料(被害者本人と遺族の慰謝料)

葬儀費用は100万円、被害者本人の慰謝料は400万円が支払われます。

遺族の慰謝料は請求権のある遺族の人数によって異なり、1名で550万円、2名で650万円、3名以上で750万円です。

 

自賠責保険の補償例

自賠責保険の補償例を、以下のケース別で紹介します。
・車対車
・単独事故
・ひき逃げ

交通事故の状況によって、自賠責保険で受けられる補償内容が異なります。

どのような補償になるのか、以下で詳しく確認していきましょう。

車対車

車対車の交通事故では、当事者双方にそれぞれ過失があるケースがほとんどです。

この場合は当事者双方が加害者であり被害者でもあるため、それぞれ相手方が加入している自賠責保険から補償が受けられます。

自賠責保険は基本的に被害者救済を目的としているので、補償額が減額されるケースは多くありません。

しかし、被害者側に重大な過失があった場合は、保険金が減額または支払われなくなる可能性もあります。

被害者に重大な過失がある事故例としては、被害者が信号無視などの交通違反をしていた場合や、停車中の加害者の車に衝突した場合などです。

単独事故

電柱やガードレールに衝突するなどの単独事故のケースでは、車に乗車しているのが運転者のみだった場合、自賠責保険の補償対象になりません。

ただし、同乗していた家族や友人が死傷した場合、運行供用者に該当しない「他人」であれば自賠責保険の補償が受けられます。

運行供用者とは、車の使用に支配権をもち、車の使用で利益を得ている人です。

たとえば同乗者が車の所有者である場合は、運行供用者にあたるため、自賠責保険の補償は受けられません。

ひき逃げ

ひき逃げに遭って加害者がわからないケースでは、加害者側の自賠責保険からは補償を受けられません。

しかし、加害者に代わって国が損害を補償する「政府保障事業制度」があるため、被害者が請求すれば自賠責保険と同等の補償を受けられます。

ひき逃げ以外では、無保険事故に遭った場合も同じ制度を利用可能です。

被害者に補償した後は、政府が被害者に代わって加害者に賠償金の請求を行う仕組みとなっています。

 

自賠責保険の補償範囲


自賠責保険の補償範囲は人身事故のみで、以下の3つのケースが対象となります。
・被害者が死亡した
・被害者がケガを負った
・被害者がケガにより後遺障害を負った

補償対象者は運転者と運行供用者以外の他人となるので、運転者本人の単独事故は自賠責保険の対象外となります。

 

自賠責基準の慰謝料計算方法

自賠責基準の慰謝料は、傷害による損害の場合は原則として1日あたり4,300円となっており、対象となる日数分で計算されます。

対象となる日数の計算方法は、次のとおりです。
1. 治療期間(事故から完治日または症状固定日まで)の全日数
2. 実通院日数(入院日数+実際に通院した日数)を2倍した数

上記の計算方法で比較して、より少ない方の日数が慰謝料算出の基準となります。

適切な慰謝料を受け取るために、医師から治療終了と判断されるまでは治療を中断せず定期的な通院を続けましょう。

 

交通事故で自賠責保険の補償を受けるには一定の条件がある


自賠責保険は被害者が死亡、または負傷した際の対人賠償のみに限定されており、補償限度額も一定の金額が決められています。

このように制限があるため、交通事故の被害が大きく損害賠償金が高額になると、自賠責保険では補えない可能性もあるでしょう。

当事者同士の交渉はトラブルになるケースも少なくないので、悩んだときには一度経験豊富な弁護士に相談してみるのをおすすめします。

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