交通事故でもらい事故に遭った場合の過失割合の証明方法
2022年07月15日
交通事故の当事者の一方にのみ過失のある事故を、もらい事故といいます。
もらい事故では基本的に被害者自身で示談交渉する必要があるため、不利な状況にならないよう適切な対処が必要です。
今回の記事ではもらい事故の示談交渉や事故例、無過失の証明方法などについて詳しく解説していきます。
被害者にとって有益な情報をまとめていますので、ぜひ参考にしてみてください。
もらい事故とは?
もらい事故とは、被害者側に一切過失がない交通事故です。
以下のような事例が、もらい事故の代表例として挙げられます。
・信号待ちで停車中に後続車から追突された
・駐車場に停車していた車にぶつけられた
もらい事故では被害者に過失がないので、過失割合は「10対0」となります。
過失割合とは、交通事故で被害者と加害者双方にどれくらいの過失があるかを示したものです。
過失割合は示談金にも大きく影響し、過失割合が1割動くだけで受け取れる金額が変わるので、過失割合については慎重な判断が必要になります。
もらい事故では被害者の保険会社は示談交渉できない
被害者に過失のないもらい事故の場合、加入している保険会社は示談交渉ができません。
被害者は自身で示談交渉を行うか、弁護士に依頼して交渉してもらう必要があります。
加害者側の保険会社から不利な条件を提示されてしまうケースもあるため、泣き寝入りとならないよう適切な対処が重要です。
保険会社が示談交渉できない理由とデメリットについて、以下で詳しく解説していきます。
もらい事故で保険会社が示談交渉できない理由
もらい事故の際に保険会社が示談交渉をできない理由は、弁護士法72条が以下のように定めているからです。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止) 第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。 |
弁護士以外の人が報酬を受け取って示談交渉などの法律事務をするのは、基本的に法律が禁じているのです。
もらい事故の場合だと、被害者から加害者への損害賠償責任が発生しないので、保険会社は事故とは無関係の立場になります。
この場合に、保険会社が加害者と示談交渉という法律事務を行うと弁護士法第72条に違反してしまいます。
そのため、もらい事故では、自分が加入している保険会社は示談交渉ができないのです。
保険会社が示談交渉できないデメリット
被害者の加入している保険会社が示談交渉を代行できないデメリットは、次のとおりです。
・相手方の保険会社と対等な立場で交渉するのが難しい
・示談交渉の準備に手間がかかる
・適正な賠償金を受け取れない場合が多い
示談交渉は話し合いによって進めていきますが、交渉に慣れている保険会社相手に被害者自身で交渉するのは負担が大きくなりやすいです。
個人で客観的な証拠を集めたり過去の裁判例を調べたりするのも、多大な労力がかかるでしょう。
また、相手方の保険会社が提示する示談金が適正金額よりも少ない場合もあるので、納得できないケースも出てくるでしょう。
過失割合が10対0(もらい事故)となる例
自動車同士の交通事故で、過失割合が10対0となる事故例を紹介します。
・交差点で車がお互い直進していたときの事故
・交差点の対向道路から同一道路へ進行したときの事故
・対向車同士が中央線を越えたときの事故
自動車同士の事故では、信号機の色やセンターオーバーの有無が過失割合に大きく影響します。
以下でそれぞれの事故例を詳しく確認していきましょう。
交差点で車がお互い直進していたときの事故
信号がある交差点で、お互いの車が直進していたときの事故例です。
お互いに直進していた場合、信号機の色によって過失割合が大きく変わります。
たとえば、A車が赤信号を無視して直進し、B車が青信号で直進していたケースを想定してみましょう。
上記のケースで事故が起こった場合、赤信号で停止しなかったA車に100%の過失があるとみなされるため、過失割合は10対0となります。
交差点の対向道路から同一道路へ進行したときの事故
信号がある交差点の対向道路から、2台の車が同じ方向へ曲がったときの事故例です。
お互いに直進していた場合と同様に、このケースでも信号機の色が過失割合を大きく左右します。
過失割合が10対0になるのは、A車が赤信号で曲がり、B車が青矢印信号で曲がった際に起きた事故です。
青の矢印信号は、黄色信号や赤信号にかかわらず、車両だけが矢印の方向に進行できる状態を表しています。
B車は信号表示を守っているのに対して、A車は赤信号で進行しているため、A車に100%の過失があるとされるのです。
対向車同士が中央線を越えたときの事故
対向車のうち、片方が中央線(センターライン)を越えてぶつかったときの事故例です。
この場合、中央線をはみ出してセンターオーバーした車の過失が100%となります。
センターオーバーした車の過失により事故が起きたと考えれられるので、被害者に過失はなく、過失割合は10対0となります。
もらい事故で過失割合10対0を証明する方法
もらい事故で過失割合が10対0であると証明する方法には、次の2つがあります。
・事故の証拠を集める
・弁護士に相談する
加害者側の保険会社が被害者の過失を探して主張してくるケースも考えられるため、どのような方法で過失割合10対0を証明するかが重要です。
以下で詳しく解説しますので、確認していきましょう。
事故の証拠を集める
自らの過失が無いことを証明するため、交通事故の証拠集めが必要となります。
証拠として認められる可能性のあるものは、次のとおりです。
・実況見分調書
・信号サイクルの資料
・事故直後の状況や車両を撮影した写真
・ドライブレコーダーの映像
・目撃者の証言や近隣の防犯カメラ映像
まずは被害者自身が集められる範囲で、事故の証拠を集めましょう。
弁護士に相談する
過失割合10対0を証明するために、弁護士への依頼も検討してみましょう。
自身でそろえた証拠が無過失の証明として使えるかどうかのアドバイスや、足りない証拠を集めるサポートをしてくれます。
示談交渉の代行や示談金の増額など弁護士に依頼するメリットは大きいですが、損害が比較的軽度な事故では弁護士費用のほうが高くなってしまうリスクも念頭に置いておかなければなりません。
加入している保険に弁護士費用特約が付いていれば、弁護士費用の自己負担が無料になる場合もあるので確認してみるといいでしょう。
まずは無料相談などを利用して、交通事故に強い弁護士に相談するのをおすすめします。
もらい事故は証拠集めが重要!しっかり準備して無過失を示談交渉で主張しよう
もらい事故に巻き込まれた際、示談交渉の進め方によっては不利になる可能性もあるため、慎重に対応しなければなりません。
たとえば、10対0の過失割合が加害者側の主張によって9対1に変更されると、受け取れる賠償金の減額につながってしまいます。
無過失を主張するために、十分な証拠を準備した上で示談交渉に臨みましょう。
自身での証拠集めや交渉が難しい場合は、迷わず経験豊富な弁護士に相談してください。
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